【サブリース節税という営業電話がただの脱税指南だった】

  1. 不動産投資の最新トレンド

 電話営業で「サブリースで節税できる」という勧誘が目立ってきましたが、それは「立派な脱税」の可能性もあるのでご注意願います。

サブリース節税を自称する手法

 サブリース契約を駆使して節税効果を狙うというのは、要するにサブリース手数料を法外に釣りあげて経費にしましょうというお話です。

 たとえば、ワンルームマンションを個人として購入し、一方で立ち上げておいた管理法人との間でサブリース契約を締結し、手数料を30%か40%くらいの高めに設定してトータルで赤字にしようというスキームです。スキームとも呼ぶほどでもないですが、そういう仕組みです。

サブリース節税の問題点

 言うまでもないですが、サブリース手数料で30%というのは異常で、40%などもはや完全な脱税なので国税が全力でやってきます。正気とは思えないセールス電話です。

 税金を考える場合、「社会通念上相当」という意識は常に忘れないようにしてください。国税は、この「社会通念上相当」を錦の御旗にやってきます。実際、これは錦の御旗そのものなので、否定すべきものでもありません。

 サブリース手数料の相場は大体10%スタートで、上限でもせいぜい20%くらいです。いくら法的規制がない世界だからといって、30%や40%などに設定したら国税に喧嘩を売っているようなものです。

 税務調査を一度でも経験されたことがあるならわかるはずですが、税務署の行動原理は「税の公平性」に尽きます。しかも、本当に真面目です。

税務調査で感じた税務署の生真面目さ

 不動産とは何の関係もなかった過去の税務調査ではありますが、私はかつて払い過ぎていた税金を税務調査で指摘され戻ってきたことがありました。例年計上していたけれどたまたま計上していなかった経費があり、税務調査でそれを指摘され、「見つけてしまったからには見なかったことにはできない」として経費に入れてもらえたのです。

 税務調査としてはイレギュラーなタイミングでやってきたのですが、おそらく、前の年にたまたま車をクレジットカードで一括購入していたことが契機だったのでしょう。何しろ、カードや口座の入り払い確認が始まると、一区切りあるたびに「他に通帳はないですか?」「他に収入となるものは?」などと妙に他の収入源がないか聞かれたのです。もちろん、そんなものはありませんでした。どうせ車を買うならカードで支払ったら面白いだろう、そんな思いつきで分不相応に一括払いしただけだったので、簿外収入などあるはずもなく。

 その後、入り払い確認の中で算入していない経費が見つかり経費に入れてもらえるという、途中から不思議な空気が流れる税務調査となりました。大きな金額でもなかったので私は別に良いかなとも思ったのですが、「税の公平性」という単語が出てきていたので、そのままご相伴にあずかりました。

 同時に、良い意味での融通の利かなさも感じて、信頼できました。

 「税の公平性」を行動原理にする税務署が、たとえば「30%」のサブリース手数料を認めるでしょうか。まず認めないでしょう。節税目的で特定の経費を操作することなど、認めるわけがありません。

ポイント税務訴訟も辞さない根拠と自信がないのなら、このサブリース節税はやめておきましょう

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